マレーシアの確定申告について|控除申請も利用しよう!
こんにちは、くろこ( KUROKO)です!
マレーシアで就労ビザ取得時に、外国人が納める税金は1つ所得税のみです。
所得税は会社が代行してマレーシアの税務署(LHDN)に納めますが、年に1回確定申告をする必要があり、忘れてしまうと罰金が発生したり、転職・日本本帰国の際に多額の追加徴税をされてしまうこともあります。
後述しますが、確定申告での控除対象を理解しておくと、還付金を受け取るが可能ですので、確定申告のシーズンのみならず年間を通して気にしておくとお得になることがあります。
- マレーシアの確定申告について知りたい方
- マレーシアの所得税について知りたい方
- マレーシアの還付金受け取りなどについて知りたい方
マレーシアの所得税は累進課税で計算されるため、所得によって税額が上がる仕組みです。
年ごとに若干税率が変わりますので、その年の税率を確認したい際はLHDN(マレーシアの国税局HP)を確認してください。→ こちら
そして累進課税が適用されるのは、居住者扱いになっている必要があります。
非居住者は、最高税率の30%が適用される仕組みになっています。
居住者:マレーシアに渡航してから182日以上
非居住者:マレーシアに渡航してから181日まで
そのため6・7月あたりの渡航となると、所得税が30%引かれた状態で給料が振り込まれる可能性がありますので、注意が必要です。
ただしこれは一般的なルールとなるため、会社によっては1年間の居住が181日以下であっても、居住者扱いで所得税を計算してくれる場合もありますので、気になる方は面接や内定後に確認する必要があります。
また次年度以降もマレーシアで働き続けて、居住者扱いとなれば通常の累進課税で計算しなおして申告することが可能なので、確定申告をすることで還付金を受け取ることが可能になります。
1年目は給料が安く辛い場合もありますが、かなりの額の還付金が戻ってくるケースもあるので、貯金のような感覚で思っておくといいです。
こういったこともあるので、確定申告は忘れずに行うことが自分のメリットにもつながります。
期間は通常3月1日から4月30日までに、ezHASILというオンラインシステムから申請する必要があります。
例えば2022年の確定申告をしたい場合には、2023年3月1日から2023年4月30日までに申請する必要があるということになります。
コロナ禍においては期間が延長されたりと変更がある場合もありますので、毎年の申請時期を必ず確認して期間内に終わらせる必要があります。
また退職して本帰国する場合は、Tax Clearanceという別の手続きが必要となります・
マレーシアに来て初めて確定申告する場合には、オンラインで申請するために必要なPINナンバーを取得する必要があります。
会社が発行するのではなく必ず自分で発行を行う必要があり、オンラインと直接税務署へ行く方法の2種類があります。
オンラインでも税務署に行く場合でも、パスポートNOとTaxナンバーが必要になります。
税務署に行く場合には、EAフォームの持参が必要になるケースもあります。
EAフォームとは会社が発行する書類になり、このフォームに収めた税金の額や給料額が記載されています。
通常確定申告の時期が来るとその前に会社から発行されるはずですが、それぞれの会社によって入手方法が異なると思いますので、確認しておきましょう。
また1人1つTax Noが付与されますが、それもこのEAフォームに記載されています。
マレーシアの確定申告は全てオンラインでの提出になります。
税務署に行って手続きすることはできませんので、必ずネット上で申請してください。
確定申告が近づくと、Taxに必要なEAフォームは会社が発行してくれるはずです。
LDHNのMy Taxからログインを行うことで、確定申告や自分のTaxの状況が確認できるようになっています。
LDHNのMy TaxではTaxの手続きに関する質問もChatで問い合わせることも可能です。
慣れるまではわかりにくいかもしれませんが、慣れるとオンラインで全て完了するので楽です!
所得控除は、還付金を受け取れることが多々あります!
ですが、所得控除についてが分かりにくく利用していない人がまだまだ利用していない人もいるので、現地採用目線で抑えるべきポイントのみを解説します。
基礎控除
特別な申請が不要で、通常9,000RMが控除されます。
また配偶者控除も可能で、通常4,000RMの控除が可能です。
ライフスタイル控除
ライフスタイル控除とは、スポーツ関連商品、ジム代、スマホ購入品、本・雑誌の購入、インターネットの月額料などを控除申請できる項目になります。
この項目は外国人でもちろん申請可能ですので、積極的に使いたい項目です。
通年であれば、2,500RMのライフスタイル控除申請をすることが可能です。
ですが2022,2023年はコロナでの経済的負担を考慮して、追加で2,500RMの控除申請が可能になっています。
転職や昇給した方は累進課税により税額が上がっている可能性がありますので、ライフスタイル控除を積極的に利用することで追徴課税の額を抑えたり還付金を受け取ることが可能です。
スマホは購入したら満額控除請求できるパワー項目ですが、それ以外の控除申請は提出できないという場合もあるので(詳細は後述)、自分が控除申請可能な金額を把握しておくと購入するタイミングを次年度にするなどの調整ができるので知っておくと得につながります。
またスマホ本体の購入費用も対象になりますが、スマホに関連する備品(ヘッドフォンや充電ケーブル)は対象外と判断される場合もあります。(担当者ベースの判断になる)
控除申請で注意したい点は以下の3点です。
項目の上限金額を超えての申請は不可
2点例を記載したので、例を見てもらうと分かりやすいかと思います。
通年の2,500RMの控除の場合で、申請可能な例をご紹介します。
- 申請例1 インターネット通信料とジム代で申請する場合
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申請できる金額が以下の場合
例)インターネット通信量 月100RM×12ヶ月=1,200RM
例)ジム月額料 月150RM×12ヶ月=1,800RM
合計3,000RM
上記が申請可能な金額になりますが、控除額は2,500RMまでです。
そのため3,000RM全ての控除申請はできません。
なので以下のように申請します。
実際に申請する金額
例)インターネット通信量月100RM×7ヶ月=700RM
例)ジム月額料 月150RM×12ヶ月=1,800RM
合計2,500RM
上記のように、控除金額に収まるように申請する必要があります。
今回記載の例は単純な金額で記載しているので計算も簡単ですが、実際の金額になると申請する該当月が複雑になることもあると思うので、申請時には自分が申請したレシートを後ほどすぐに提出できるように保管しておいてください。
- 申請例2 インターネット通信料とスマホ本体代で申請する場合
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申請できる金額が以下の場合
例)インターネット通信量 月100RM×12ヶ月=1,200RM
例)スマホ本体代 月3,500RM
合計3,700RM
上記の場合は、スマホ代だけで2,500RMを超過しているためスマホ代のみ申請することが可能です。
実際に申請する金額
例)インターネット通信量申請しない
例)スマホ本体代 月2,500RM
合計2,500RM
スマホ代は3,500RMですが、控除申請時には最大値の2,500RMと入力します。
レシートが3,500RMになっていても問題はありませんので、保管しておきます。
もし2021年度のように追加の特別控除があった場合には、通常の2,500RMとは別にスマホ代などの申請を2,500RM控除が可能でした。
よって5,000RMの控除申請が可能なのですが、その場合には以下のようになります。
追加の特別控除枠がある場合
例)インターネット通信量 月100RM×12ヶ月=1,200RM →通常の控除枠で申請
例)スマホ本体代 2,500RM →追加の特別控除枠で申請
合計3,700RM
5,000RMなのに3,700RM?と思ったかもしれませんが、通常の控除枠と追加の特別控除枠は枠が異なるので合算しての申請不可になるため、それぞれ2,500RMしか申請できません。
そのためスマホ代の残りの1,000RMは、通常の控除枠に追加して申請することはできませんのでご注意ください。(LHDNの職員の方に確認済み)
レシートは7年間の保管義務あり
基本的に申請する際には提出は不要なので、レシートがなくても控除金額を入力して還付金を受け取ることが出来てしまいます。
マレーシアのIT関連は適応力が早いので、今後確定申告時にレシートを添付できるように修正される場合もありますので、申請時に必ず確認するようにしましょう!
しかしながら、日本へ本帰国する際や転職の際に行うTax Clearanceの手続き時に、控除申請したレシートを提出する必要があるケースがあります。
この際に提出できない場合には、申請した控除は無しと見なされ再度税額の計算を行うため、追徴課税をされることになってしまいます。
時間が経過すると自分がどの項目でいくら申請したかわからなくなると思いますので、申請する際にレシートや申請した項目の金額などはデータ管理しておくことを強くオススメします。
逆にできない場合には、申請しない方が無難かもしれません。
申請項目は毎年変更になる場合あり
一般的にライフスタイル控除で申請できる枠や申請金額は前述したとおりですが、内容が変更が行われる可能性もあります。
HASILのホームページで毎年の控除申請項目を確認できるので、確認してから申請するようにするのが良いです。
またライフスタイル控除枠で申請できる内容に不明点があれば、HASILに問い合わせてみてください。
自分が申請できると思っていても、Tax clearance(タックスクリアランス)を行った際に修正が入り追徴課税を請求されることもあります。
還付金・追納金について
確定申告が完了すると、還付金もしくは追納金の表示がされます。
還付金については早くて1週間ほどで振込される場合もありますが、ケースバイケースのため気長に待ちましょう。
追納金については、確定申告申請期間内に銀行振込をする必要がありますので忘れずに振り込みます。
振込先や還付金の振込希望口座などもネット上の申請画面で全て確認できます!
1年に1回の確定申告は必ず忘れないように、申請期間が近づいてきたら注意してください。
忘れた場合には追徴課税やタックスクリアランスを行う際に追納金が発生する場合があります。
累進課税のため稼げば稼ぐほど税金は高くなってしまいますが、住民税などの他の税金は発生しませんし、控除金額も申請すれば減額、還付される可能性もあるため積極的に利用することをお勧めします。
スマホやパソコンを購入する際には、タイミングも考えると控除額を目一杯使うことが可能なので、年間を通して意識してみると良いかと思います。
以上最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!